演奏会雑録帳
2001年以前に行った演奏会の感想です。本体記事と重複してるものもあります。
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2000(平成12年)
(アンドレイ・アニハーノフ/レニングラード国立歌劇場管弦楽団)


 アニハーノフを最初に聴いたのはナクソスから発売されている、ハチャトゥリアンのアルバムだったのですが、オケはそこそこ無難にまとめあげてはいるものの、あまり強い印象が無い指揮者でした。ですが、その後2000年暮に聴いた以下の演奏会がとても印象に強く残りました。

それは、


12月9日:オーチャードホール

チャイコフスキー/交響曲第6番
シベリウス/フィンランディア
シベリウス/悲しきワルツ
スメタナ/モルダウ
チャイコフスキー/スラヴ行進曲


 オケはいささか芳しくない、かなり痛んだ音という印象をもちましたが、アニハーノフの指揮はたいへん聴き所を抑えた、それでいてなかなか個性的な解釈を各曲に施していました。「悲しきワルツ」の緩急のつけ方、そしてスラヴ行進曲における「行進曲」を基本とした解釈などなかなかユニークな指揮者という気がし、自分にとって要注目指揮者のひとりとなりました。

 そんな中翌年この指揮者が手兵とともに全国ツアーをやるという、またとない朗報に接しました。自分はこの指揮者をさらに聴くためこのツアーのうち以下の演奏会に行くこととしました。


7月17日:日野市民会館

チャイコフスキー/交響曲第6番
スメタナ/モルダウ
マスカーニ/カヴァレリア・ルスティカーナ、間奏曲
ビゼー/カルメン、組曲より
チャイコフスキー/スラヴ行進曲


7月19日:武蔵野市民文化会館

ボロディン/中央アジアの草原にて
チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲(VN/日下紗也子)
ラフマニノフ/交響曲第2番


7月24日:横浜みなとみらい

チャイコフスキー/眠れる森の美女、ワルツ
イッポリトフ・イワノフ/コーカサスの風景、酋長の行進
チャイコフスキー/くるみ割り人形、花のワルツ
プロコフィエフ/3っつのオレンジへの恋、行進曲
ハチャトゥリアン/仮面舞踏会、ワルツ
リムスキー・コルサコフ/金鶏、婚礼の行列
チャイコフスキー/弦楽セレナーデ、ワルツ
チャイコフスキー/スラヴ行進曲

グリンカ/ルスランとリュドミラ、序曲
ボロディン/中央アジアの草原にて
ムソルグスキー/禿山の一夜
リムスキー・コルサコフ/サルタン皇帝の物語、熊蜂の飛行
チャイコフスキー/ロミオとジュリエット


 これらの公演はどれらもたいへん印象に残っています。「悲愴」はCDや前年の公演で聴いたときよりもさらに力強く、たいへん説得力にみちた名演となっており、この指揮者が同曲における現代のスペシャリストのひとりという気が強くしたものでした。またプロコフィエフの「3っつのオレンジへの恋」の行進曲の強烈な原色効果、「くるみ」における颯爽とした、それでいて随所に聴かれるたっぷりとした歌心溢れる見事な音の運び。そして「シンデレラ」における、素晴らしいまでに洗練された、じつに自然な息遣いに溢れた音楽は、どれもが秀逸というイメージだけには収まらない、たいへん素晴らしいものがありました。

 オーケストラの方も聴くたびにすこしずつ状況が改善されているようで、こういう点からもこの指揮者とこのオケはこれからも目が離せないコンビという気がしたものでした。

 ですがこの公演で一番印象に残ったのはラフマニノフの交響曲第2番でした。多少練習不足という気はしたもののその解釈はきわめて異色なものでした。かなり管楽器がバランス上大きいこのオケの編成を考えてか、管楽器は一切山台を使わずできるかぎり弦を前面に出そうとしたものの、盛り上がり部分ではその圧倒的に優勢な管がやすやすと弦をのり越えてきてしまい、音質的にはなはだ異色なものとなってしまいました。ですが、それがこの指揮者の意図と相反するかというとそうでもなく、こういう効果も一部狙ってきているという気もじつはしたものでした。

 これは例えば弦による浪漫の限りを尽くしたような旋律は徹底的にそれを極力歌いぬき、涙なくしては聴けぬほどまでもっていこうとするのに、管の咆哮がおきると、それらを例えばスヴェトラーノフのように弦とその雰囲気を同調させるのではなく、まったく別の音楽を鳴らせるような、いわばこの曲のもつ別の要素を引き出そうとしているかのようで。それはあたかもこの曲もまた20世紀の交響曲に他ならないという、指揮者の意図を強く反映させているかのように聴こえたものでした。このためこのラフマニノフはスヴェトラーノフのようなひとつの方向に大河のごとき音楽を導き出そうという意図はなく、ありとあらゆる要素を「歌」というキーポイントを守りながら、どんどん展開していこうというものになっていきました。しかもそのために散漫になったという印象はまったく無く、むしろ最後はそれらがひとつになった壮麗なクライマックスが見事に形成されており、この指揮者の素晴らしい解釈と音楽を大きく見事にまとめる卓越した手腕に感心しまくってしまいました。(もっともそれに気づいたのはこの演奏を聴いてしばらくした後ではあったのですが…)

 このようにこの指揮者はかなり多面的な要素を持ちながら、しかもそれを分裂や矛盾させることなく、見事にひとつの世界に、しかも決して小さくかためるのではなく、大きな音楽してひとつの世界にまとめあげる手腕を持っています。またときどきこの指揮者は彼の師ドミトリエフの師である、かのムラヴィンスキーの得意とする音楽をキックさせる手法を、たまにみせるときがあります。これはオケとのかねあいもあり常に発動されているわけではありませんが、彼以外にはあまり今のロシアの音楽界でもこのキックさせる音使いはあまり聴くことができないので、この特性が今後どうなるのかとても注目したいとこです。


●アンドレイ・アニハーノフ
http://www003.upp.so-net.ne.jp/orch/page330.html
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